「ギリシャ支援合憲」と独憲法裁 株式市場はどうみるか プロに聞く
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- 2011/9/8 11:15
ドイツ連邦憲法裁判所は7日、ユーロ圏のギリシャなど他国への金融支援について、過去の実行分は「合憲」と判断した。一方、今後の支援については、1件ごとに連邦議会(下院)の委員会の承認を得る必要があるとした。これを受けて、同日の欧米株式相場は軒並み上昇。8日午前の東京株式市場でも日経平均株価が続伸した。今回の独憲法裁の判断が欧州の債務問題にどう影響するかなどを株式市場関係者に聞いた。
大和住銀投信投資顧問投資戦略部長 門司総一郎氏
ドイツ連邦憲法裁判所の判決に意外感はない。これまでも同種の裁判で、結果ではなく手続きの適正性を重視する判決が出ており、それに沿ったものだからだ。今後の他国への金融支援について連邦議会の承認が必要としたことは機動的な支援の妨げになるという見解もあるが、これまでも国内世論という事実上のストッパーがあったため、それほど大きな変化はもたらされないとみている。
ただ、欧州の債務問題は袋小路に入り込んでおり、長期化は避けられそうにない。ギリシャなど支援される側の国民は緊縮財政に反対し、ドイツなど支援する側の国民は財政出動に疑問を持っている。このような国民感情を反映する形で最近の各国首脳の発言に食い違いが目立ってきており、債務問題の解決はどんどん遠くなっているという印象を受ける。
ドイツ証券チーフエクイティストラテジスト 神山直樹氏
今回の判決は市場の関心が高く、過去の金融支援が違憲と判断されるリスクを市場関係者は警戒していた。その意味で、実行分のギリシャ支援策などが違憲と判断されなかったことはポジティブに評価している。一方、今後の金融支援に連邦議会の委員会の承認を必要とした点は、機動的な金融支援の妨げになる可能性がある。債務問題の解決には行政のリーダーシップが必要になるが、それに一定の足かせがはめられた格好だ。総じて言えば、いい点と悪い点が同居した判決といえるだろう。
財政問題の解決には景気とのバランスをいかに取るかが重要になる。短期的には増税などで市場の信認を得ることはポジティブに評価できるが、それもやりすぎると景気に冷水を浴びせかねない。市場の信用をつなぎとめている間に、欧州の主要な輸出先である米国の景気が回復するかどうかがポイントになるだろう。
(聞き手は佐藤俊簡)
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