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11/05 信頼へ まず内向き脱却 迷走みずほ〈下〉

写真:復旧したみずほ銀行のATMコーナー。店のスタッフが利用者に頭を下げていた=3月22日、東京都渋谷区、吉本美奈子撮影拡大復旧したみずほ銀行のATMコーナー。店のスタッフが利用者に頭を下げていた=3月22日、東京都渋谷区、吉本美奈子撮影

図:  拡大  

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 みずほ銀行がシステム障害を起こした3月15日から約1週間後、あるメールが全国の支店長らに流れた。

 「頭取の現場感あふれる強力なリーダーシップのもと、この困難を乗り切りましょう」「頭取に応援メッセージをいただける方があれば返信を。まとめてお届けします」

 送り主は本部の役員。西堀利(さとる)頭取の応援を呼びかけたのだ。

 直前の3連休には全国の現金自動出入機(ATM)が止まっていた。このため、東日本大震災の被災地でも必要なお金がATMから引き出せなかった。被災地にお金を送ろうにも現金振り込みも滞っていた。

 支店では窓口で1人10万円までの払い出しに応じるため、行員が3連休も出勤し、顧客に頭を下げた。「それなのに頭取に応援メールとは情けない」。支店からは失望の声がもれた。

 みずほグループは今の体制になった2002年以来、前身の第一勧業、富士、日本興業の旧3行出身者が、持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)、傘下のみずほ銀、みずほコーポレート銀行の主要ポストをほぼ三等分してきた。グループ内での力を維持しようとそれぞれがテリトリーを守ることに力を注いだ結果、「内向き志向」が強まった。

 障害が起きた3月15日は午前9時までに入金されるはずだった現金振り込みの処理が滞った。だが、公表したのは午後8時30分近くになってからだ。当初は振り込みの処理を「22日に終える」と説明したが、22日中には処理しきれなかった。これを明らかにしたのも翌23日深夜だった。

 みずほグループ幹部は「システム障害の復旧に忙殺され、顧客への説明まで手が回らなかった」と話す。しかし、みずほ銀は今も障害の原因について詳しく公表していない。

 3年前、グループの当時の首脳の一人が女性スキャンダルを起こしたことがある。取引先からは大銀行の経営者としての資質を問う声もあがった。だが、旧3行の一角の実力者だったため、グループ内では不問となり、発言力を維持した。

 「間違っていても行内で力があれば乗り切れる、という企業文化。信賞必罰とはほど遠い」。ある金融庁幹部の印象だ。この文化は業績にも影を落とす。

 みずほFGの10年4~12月期の純利益は4220億円。メガバンク3行のうち2行は5千億円台に乗せており、唯一届かなかった。純損益は08年3月期決算から3番手に甘んじている。

 金融機関の経営を分析している外資系証券会社のアナリストは「旧3行の融和を重視して2バンク制(みずほ銀とみずほコーポ銀)にしているため、人員などが重複してコストが高く、縦割りで連携も不足している」と指摘する。

 「お客さまの課題解決に向けて何ができるかを問いかけ、行動することが何よりも大切」。障害がほぼ収束した4月、みずほFGの塚本隆史社長は新入行員に「外向き志向」を訴えた。

 みずほ銀は全都道府県に支店を構え、コーポ銀は上場企業の7割と取引があるとされるなど、経営基盤は広くて分厚い。内向き志向を脱して信頼を取り戻すのか、失敗を繰り返す芽を残すのか。多くの預金者や企業が注目している。

10/05 寄せ木 システムも組織も 迷走みずほ〈上〉

写真:システム障害について説明するみずほ銀行の西堀利頭取(中央)=3月25日、東京都中央区拡大システム障害について説明するみずほ銀行の西堀利頭取(中央)=3月25日、東京都中央区

図:みずほグループの組織のイメージ拡大みずほグループの組織のイメージ

 金融庁「システムに関する総合的な危機対応計画がない。今の計画も意味をなしていない」

 みずほ銀行「対象範囲、リスクなどを入念に想定し、個々の対応を深く掘り下げ、計画を策定する」

 みずほ銀は2002年、前身の富士、第一勧業、日本興業の旧3行のシステムを統合した際もシステム障害を起こした。その際に金融庁の指摘を踏まえてまとめた約100ページの報告書には、今のみずほ銀にあてはまるような課題が並ぶ。

 なぜ、教訓は生かされなかったのか。

■義援金集中に無策

 障害は3月14日、東日本大震災の義援金の振り込みが特定口座に集中し、システムがダウンしたことがきっかけだった。

 「今回の障害は念頭には無かった」。記者会見した西堀利(さとる)頭取は義援金の集中が「想定外」と言わんばかりだった。

 だが、他の銀行は、事前に義援金専用の口座を作って容量の上限を無くすなどの対策をとったため、トラブルは起きなかった。みずほ銀はこうした措置をとっていなかった。

 「義援金に限った話ではない。大量振り込みが見込まれる時にどんな対応をとることになっていたのか。もっと前に障害が起きていてもおかしくなかった」。立ち入り検査を進める金融庁幹部はあきれる。

 判断も誤った。3月15日に障害発覚後、夜を徹してシステム復旧を進めたが追いつかず、夜間に給与振り込みや口座為替のデータを一括処理するのも滞った。未処理がたまっているのに窓口業務を1日止めて処理を終わらせる決断ができず、18日まで窓口で振り込みを受け付けたため、未処理件数が膨らんだ。

 「処理と業務が並走できると判断するのに、適切な手順を踏んでいなかったのではないか」。金融庁はこうみている。

■連携不全、混乱拡大

 今回の障害では同じグループのみずほコーポレート銀行の顧客企業が、みずほ銀に口座を持つ企業などに振り込めなくなる例が相次いだ。混乱の中、コーポ銀幹部はみずほ銀の支店に直接連絡して振り込みを急ぐよう求め、手作業で振り込みをする支店が出た。

 そこへシステムが復旧し、滞っていた元の振り込み指示も動き始めた。このため「二重振り込み」が起き、これを取り消す作業が必要になるなどして混乱が広がった。

 みずほグループは、持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)のもと、みずほ銀が中小企業・個人向け、コーポ銀が大企業向けの業務を扱っている。足の引っ張り合いのような事態に陥ったことに、みずほ銀内からは「持ち株会社の経営陣は何をやっていたのか」との不満の声が噴き出している。

 みずほFG社長は旧第一勧業、みずほ銀頭取は旧富士、コーポ銀頭取は旧日本興業の出身。旧3行がにらみ合う構図で、人事や経営方針に統一感が薄い。

 その象徴がちぐはぐなシステムと危機対応だった。

 みずほ銀は旧3行のシステムをつぎはぎしてつくり、プログラムは古くて複雑なまま。新システムへの移行を急がなければならないのに、費用が巨額なこともあり、歩みは遅かった。

 金融庁「持ち株会社の統括責任を全うできなかった」

 みずほFG「効率的で実効性のある体制をつくる」

 02年の報告書はこう誓った。だが、約束は今のところ空手形に終わっている。

    ◇

■みずほ銀行システム障害の経緯

3月14日 東京都内の支店の2口座に義援金の振り込みが大量に集中

  15日 システム障害が発生し、現金振り込みが滞る

16~18日 全店窓口で振り込みが一時できなくなり、ATMも一時止まる

19~21日 3連休に全ATMを止め、店舗窓口で1人10万円までの引き出しに応じる

  22日 ATMが再稼働。店舗窓口もほぼ通常通りに

  24日 滞っていた現金振り込みの入金がすべて終わり、システム障害がほぼおさまる

 4月4日 金融庁が立ち入り検査。大量振り込みへの対策は全店に徹底されず。顧客には「徹底している」と説明するよう指示

  11日 原因解明や再発防止策を議論する第三者委員会を設置。全店に「通達」で大量振り込みの対策を徹底するよう指示

4月28日 原因分析や当面の再発防止策をまとめた行内の調査結果を金融庁に提出

    ◇

 みずほ銀行はなぜ大規模なシステム障害を繰り返したのか。迷走の背景を追った。(編集委員・織田一、大日向寛文が担当します)

16/03 みずほ銀、5700億円未処理 2日連続システム障害 震災とは無関係か

2011.3.16 21:44
. みずほ銀行は16日、2日連続で発生したシステム障害の影響で、企業や個人から受け付けた約44万件、総額約5700億円の振り込みなどの手続きが未処理になっていることを明らかにした。現金自動預払機(ATM)とインターネットによる振り込みサービスなどを停止し、未処理手続きを急ぐが、17日中に完了するかどうかは不透明だ。

 みずほ銀は16日午前、外貨預金の取引を除くオンラインシステムが復旧したと発表していたが、夜間処理のシステムが正常に稼働していないことがわかった。原因は調査中としているが、東日本大震災との関連はないとみられる。

18/03 みずほ銀、給与入金62万件できず 障害4日連続

2011年3月18日12時49分

.ATMのシステム障害について頭を下げる、みずほ銀行の西堀利頭取(中央)=18日午前10時29分、東京都中央区、上田潤撮影

 みずほ銀行は18日、システム障害が4日連続で起き、同日朝に予定していた給与振り込み約62万件(約1256億円分)のほとんどが、処理できなかったと発表した。この日は、店舗での通常の振り込みも処理できなくなった。

 約62万件は、企業がみずほ銀に、社員の給与振り込み口座への振り込みを18日付で依頼した取引の全件数。同行に振り込み口座を持つ人への振り込みが23万1千件(計536億円)、他行に口座がある人への振り込みが38万9千件(720億円)ある。

 給与振り込みなどが集中する、いわゆる「5・10日(ごとおび)」の直近は20日。この日は休日なので、週末の18日付での給与振り込みが通常より多くなることが予想されていた。ほかの取引を制限してでも、給与振り込みの処理を優先するはずだったが、実施できなかった。

 同行のシステム障害が起きた15日から17日までに、現金振り込みだけで計約50万件(計約6500億円)が処理できず、手続きが滞っている。この中にも、件数は不明だが給与振り込みが含まれているという。処理できていない現金振り込みは少なくとも計112万件(計約7756億円)にのぼる。18日は給与振り込み以外も処理できていない取引があり、未処理の件数はさらに増えそうだ。

 一方で、コンビニエンスストアでの設置分なども含めた現金自動出入機(ATM)約3万9千台は、19~21日の3連休中ずっと止める。この3日間は、全店舗の窓口を午前9時から午後5時まで開け、1人当たり10万円を上限に現金引き出しに応じる。

 18日は、同行店舗内のATMは午後7時まで現金の出し入れだけできるようにするが、昨夕から止まっているコンビニなど店舗外のATM約3万5千台は終日使えない。

 システム障害の原因はまだ分かっていない。18日午前に記者会見した西堀利頭取は経営責任について、「まずは今の事態を回復させるのが私の責任」と述べた。