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回復途中の日本経済を直撃している円高、政府は早急に対策を

小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表



 最近、ギリシャ問題や欧州危機のニュースが多く報道されていますが、それに関連して私が懸念しているのが円高の進行です。東京市場でも一時ドルが77円台、ユーロは96円台まで進行しました。ようやく企業業績や国内全体の景気が回復しつつあるのが実感できてきた状況です。この円高にどう対処するかは政府が緊急に解決すべき課題と言えるでしょう。今回は、国内指標を見ながら円高が今後どのように影響してくるのか、考えていきたいと思います。

08/09 展望欠く日銀の金融政策  竹中平蔵 慶大教授

2010/9/8 7:00

竹中平蔵(たけなか・へいぞう) 73年日本開発銀行入行。大阪大助教授、慶大教授などを経て01年経済財政・IT担当相、02年経済財政・金融担当相。04年参院議員。経済財政・郵政民営化担当相、総務・郵政民営化担当相を経て慶大教授兼グローバルセキュリティ研究所所長。09年パソナグループ会長に就任。


 民主党代表選の陰に隠れた形になったが、8月30日にようやく日銀が行動を起こした。日銀は金融政策決定会合を開き、期間3カ月の資金を政策金利で供給する「固定金利オペ(公開市場操作)」の供給額を10兆円増額(期間も延長)するなどの金融緩和措置を決定した。9月7日の決定会合では「適時適切に政策対応する」方針を示し、追加金融緩和に含みを持たせた。しかし一連の措置に対しては、極めて厳しい評価をせざるをえない。


関連記事 ・8月30日日経朝刊1面「日銀きょう臨時会合」
・8月31日日経朝刊5面「誤算の日銀、追い込まれ」
・9月1日日経朝刊3面「円高・株安 流れ再び」
・9月2日日経朝刊5面「新設オペ 効果限定的」

“誤算”を積み重ねた日銀の政策決定


 日銀の政策決定に至る経緯が報告されているが、いくつかの“誤算”の積み重ねであったことがわかる。そもそも8月10日に定例会合が開かれ、政策の維持が決定された。しかし同じ日に、米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和に動いたという評価が広がったことで、円高が加速したのだ。

 次に8月半ばに、菅直人首相と白川方明日銀総裁のトップ会談の予定が事前に漏れるという事態が生じた。結局これがうまくまとまらず、円高は一層加速。さらに民主党代表選のなかで、菅首相が経済対策作りを急ぎ、日銀にも歩調をあわせるよう期待を表明した。その結果、日銀は臨時会合を30日のタイミングで開催せざるを得なくなったのである。

 しかしながら、及び腰の日銀をあざ笑うように、31日には円高・株安の流れが再び加速。政府・日銀の対応策の効果は、わずか1日しかもたないという悲惨な結果に終わった。

 さらにその後、日銀は期間6カ月の資金を金融機関に供給する固定金利オペを初めて実施したが、市場にはさらなる金融緩和を待つ姿勢が強く、応札額は限定的だったという。

 このような状況下で、関係者の間では政府と日銀に対する批判以上に、むしろ嘆きとあきらめの気分がまん延している。しかし今、世界の主要国が「日本型デフレ」に陥ることを懸念しているなかで、日本の対応に改めて注目が集まっているのだ。政府と日銀は態勢を立て直してデフレ克服に断固たる姿勢を示さねばならない。デフレがあるからこそ実質金利(名目金利マイナス物価上昇率)が高止まりし、結果的に円高が続いている。


デフレ克服への姿勢が見えない日銀


 今回の対応ぶりから明らかなように、日銀の行動は政治的な批判をいかに回避するか、に偏っている。中央銀行として、どのようにデフレを解消したいと考えているのか、何ら展望は見えない。リスクをとってでも積極的にデフレを克服しよう、という姿勢自体が伝わってこない。今後、民主党代表選を経てどのような政権ができようとも、日銀の行動原理自体が変わらない限り、「日本型デフレ」の解消は期待できない。

source: nikkei

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14/09 「亀井モラトリアム」で延命する中小企業  編集委員 滝田洋一

2010/9/14 7:03

滝田洋一(たきた・よういち) 81年日本経済新聞社入社。金融部、チューリヒ駐在などを経て95年経済部編集委員。07年論説副委員長。米州総局編集委員を経て09年9月論説副委員長兼編集委員に復帰。マクロ経済、金融を担当。08年度ボーン・上田国際記者賞受賞


 円高による景気失速懸念がくすぶっているが、正直言って一番分からないのが景気の肌触りや実感だ。

 内閣府が8日発表した8月の景気ウオッチャー調査(街角景気)では、景気の現状判断を示す指数が前月に比べて大幅に悪化した。落ち込み幅は過去最悪だった2009年11月のドバイ・ショック以来の大きさだ。

 円高・株安による企業心理の冷え込みが響いているという。街角景気はいわば居酒屋の景況感なので、それだけ悪くなると街角に悲鳴が木霊していておかしくない。その割に世の中は静かだ。



関連記事 ・9月9日日経朝刊5面「街角景気が大幅悪化 8月4.7ポイント低下」
・9月9日日経朝刊4面「負債100億円超の倒産ゼロ 8月20年ぶり」
・8月31日日経朝刊4面「返済条件緩和、6月末39万件 金融庁」

大型倒産、8月は20年ぶりゼロに

 同じく8日に東京商工リサーチが興味深い集計を発表していた。8月の全国企業倒産状況によると、負債額100億円以上の大型倒産が1990年9月以来、約20年ぶりにゼロになったというのだ。負債額10億円以上の倒産も大幅に減り、全体の負債総額も1889億円と、19年10カ月ぶりに2000億円を下回った。悲鳴が聞こえないのも、むべなるかな。

 この辺の事情を察知してか、「日本企業は実は円高抵抗力を高めている」とか「今の円高は物価変動を差し引いた実質ベースでみれば大したことがない」といった議論が聞かれる。

 日経平均株価が一時9000円を割ったことからみても、いかにも強がりめいている。そう思って、東京商工リサーチや帝国データバンクの分析をみると、意外な答えが記されていた。

 亀井静香前金融担当相の肝いりでこしらえた中小企業金融円滑化法が、カンフル剤になったというのだ。同法に基づく借り入れ返済条件の緩和で、多くの企業が資金繰り破綻を免れた。

 今年上半期(1~6月)の倒産が5989件にとどまり、前年同期比14.7%の大幅減になったとする帝国データバンクによれば、「金融機関は積極的なリスケ対応により多くの企業が資金繰り破綻を回避、先送りしているのが現状」である。リスケとは借り入れの条件変更のこと。

 同法による中小企業向け融資の返済条件緩和は6月末時点で実に39万件、金額にして13兆3959億円に達している。菅直人首相が円高対策で後手後手に回る。そんななか、「亀井モラトリアム(一時的返済猶予)」とも呼ばれた、前金融相の置き土産が日本経済の底割れ防止に一役買ったともいえる。

 同法が11年3月末に失効したあとも、返済条件緩和の扱いは継続される見通し。ただ、そうした対応が延命措置にすぎないことは、当事者の常識である。「年内は倒産状態の小康状態が続くことも考えられるが、大企業に比べて業況改善が遅れる多くの小規模企業にとって時間的な猶予はそれほど多くない」

 帝国データバンクはそう指摘したうえで、「改正貸金業法の完全施行が零細企業に与える影響も決して小さくない」と警告する。中小企業金融円滑化法で助けた資金繰りを、改正貸金業法の完全施行で締めるようなら、それこそ政策効果の行って来いではないか。

 「雇用、雇用、雇用」と呪文(じゅもん)を唱える前に、ちょっと前に実施した政策の効果をきちんと測定するのが、政府の仕事のはず。民主党代表選が終わり、政局が落ち着いたら、さっそくその基本に戻り、中小企業を強くする策を練って欲しい。

source: nikkei

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