縮小均衡に陥る世界の金融 竹中平蔵 慶大教授
- 2011/7/26 7:00
竹中平蔵(たけなか・へいぞう) 73年日本開発銀行入行。大阪大助教授、慶大教授などを経て01年経済財政・IT担当相、02年経済財政・金融担当相。04年参院議員。経済財政・郵政民営化担当相、総務・郵政民営化担当相を経て慶大教授兼グローバルセキュリティ研究所所長。09年パソナグループ会長に就任。
主要国・地域の金融当局で構成する金融安定理事会(FSB)は19日、世界の巨大28金融機関に自己資本の上乗せを求める規制強化策を発表した。自己資本比率の基準を満たすため、金融機関の資産圧縮が進むとの見方が多い。日本のメガバンク3行も含まれ、それぞれに収益力の向上が求められる。
・7月20日日経朝刊7面「銀行新規制 経営転換迫る」 |
・7月22日日経朝刊1面「ギリシャ支援 基金の拡充軸に」 |
・7月23日日経朝刊1面「米欧財政 消えぬ懸念」 |
・7月23日日経朝刊7面「金融安定基金 拡大先送り」 |
一方、欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国は21日に首脳会議を開き、ギリシャへの追加支援の合意に向けて最終調整した。安全網として存在する欧州金融安定基金の機能を拡充し、金融支援を実施する。
月(国際) | 飯野克彦 |
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火 | 竹中平蔵 慶大教授 |
水(企業) | 西條都夫 |
木(政治) | 秋田浩之 |
金(市場) | 梶原誠 |
ユーロ圏首脳が昨年5月に続き、ギリシャへの支援をまとめた格好だ。民間投資家にもギリシャ国債への再投資などの負担を求め、支援額は18兆円規模になる。これに対し格付け会社フィッチは、民間負担の仕組みが発動されればギリシャ国債の格付けを部分的な債務不履行に引き下げる方針を表明。今回も、公的資金投入に対する国民の不満を和らげようとしてドイツが民間負担を求めた。
■ギリシャ2次支援、抜本解決への道険し
しかし、デフォルトと判断されることを嫌って欧州中央銀行が反対。議論が迷走するなかで市場の混乱が広がった。抜本的な解決はまだ遠い。米国財政の混乱も続いている。
EUがギリシャへの第2次金融支援の枠組みを決めたことで、足元の危機回避は前進した。ただ欧州安定基金の規模拡大を見送るなど課題は残る。また、格付け会社による十分な合理性のない格下げが市場を混乱させたとして、規制の強化も検討されている。リーマン・ショックからギリシャ危機へと連なる世界の金融・財政危機。危機対応で様々な規制が強まるなかで、世界の金融は縮小均衡に陥りつつある。