- 2012/6/7 14:00
(2012年6月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
オバマ米大統領のエネルギー政策が内外から非難を浴びている。国内では、業界団体の米石油協会(API)が潤沢な資金力でキャンペーンを展開、カナダからの「キーストーンXLパイプライン」の建設計画の却下、シェールガスの規制、石油業界への増税要求に関して、オバマ大統領に異議を唱えている。
■政策の過ちを補うシェールオイル・ガス
オバマ大統領の取り組みの多くは再生可能エネルギーと原子力エネルギー、電気自動車の普及に重点を置くもので、政権はこの点でも過ちを犯している。助成金や融資の成果は良くても「まだら模様」としか言えない。
だが、シェールオイル・ガスの生産が好調なおかげで、オバマ大統領は1970年以来の米国のエネルギー開発の最盛期を築きあげてきた。
数万人の雇用創出、消費者や企業への安価なエネルギー供給は、その成果だ。また、発電源が石炭から天然ガスにシフトしたことで石油輸入の依存度が低下し、過去5年間の温暖化ガス排出量の削減幅が米国は世界一となった。
■民間を妨げないことも重要
しかし、政策の果たした役割はごくわずかである。初期の資源探査こそ政府の支援に依存するところが大きかったが、この10年間は補助金などのインセンティブがなくても民間部門が商業化を主導してきた。オバマ大統領の在職中の幸運は称賛に値しないかもしれない。そうだとしても、少なくとも実現を妨げるような介入をしなかったことは評価されてよい。
共和党は、オバマ大統領が再選されればそのような介入を行うだろうと警告するが、その主張は根拠に乏しい。オバマ大統領は自国のガス資源を開発するという公約を掲げており、政権がシェールオイル・ガス産業を規制する動きは暫定的なものだ。
経済界首脳は政府の明確で一貫性のあるエネルギー戦略がないと不満を漏らすが、米国はそれがなくても極めてうまくいっているように見える。
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