- 2011/9/25 23:45
日本の大手銀行が海外拠点でドルを中心とした外貨の確保に動いている。三井住友銀行が外貨預金を直近の半年で30億ドル増の870億ドルに積み増したほか、他のメガ銀行も外貨預金獲得を積極化している。欧州の財政不安をきっかけに、欧米のドル短期市場で警戒感が強まっている。海外での資金調達が不安定になる可能性があるとみて、外貨の手元流動性を厚くして、万が一の市場の波乱にも万全を期す構えだ。
銀行の外貨調達法は、企業などからの預金獲得のほか、市場調達や日本円を外貨に替える「円投」がある。ただ市場環境に左右されやすい円投はコストがかかるため、大手銀は2008年秋のリーマン・ショック後、安定した資金源となる外貨預金を積み上げてきた。
三井住友の外貨預金残高はリーマン危機前の08年3月末(410億ドル)と比べ、8月末時点で2倍以上に拡大。ギリシャ問題などで市場環境が悪化した今夏以降、預金獲得額をさらに積み上げているという。
三菱東京UFJ銀行の外貨預金は3月末に2000億ドルに達し、リーマン前(1577億ドル)に比べ3割増えた。同行はこのうち約半分を法人や個人から集めており、直近の約半年でさらに1割強、残高を伸ばしたもよう。みずほコーポレート銀行の3月末の残高も940億ドルとリーマン前比1割強増加し、足元では「資金調達環境の悪化を踏まえ、資金力のある日本企業などからの預金獲得を増やしている」(幹部)という。
「リーマン危機後のような世界的なマネー収縮が起きる可能性は極めて小さいと見ている」。ある大手行首脳は、こう前置きしつつ、「資金調達環境に嫌な兆候があるのも確か」と話す。
日本円で外貨を調達する際の調達金利が8月に一時上昇したほか、機関投資家が預金を引き出す動きが少しずつ出始めたためだ。8月以降、市場の警戒レベルをリーマン危機当時並みに引き上げるべきか、検討した銀行もある。
日本の銀行の財務に問題があるわけではないが、万が一、欧州の銀行危機が深刻化すれば、資金調達などへの影響が避けられないというのがリーマン危機の教訓だ。円高を契機に、海外での事業拡大を前向きに考える日本企業が増えており、銀行自身も海外でのM&A(合併・買収)の機会を模索中。大手行が外貨確保に動いている背景には、こうした海外での資金需要にこたえる狙いもある。
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