第三者委調査で判明、1300億円資産計上 時価会計導入を機に
- 2011/11/11付
オリンパスが証券投資の損失を隠していた問題で、不正な経理操作の手口が10日、同社の第三者委員会の調査で明らかになった。含み損を抱えた資産を「飛ばし」で切り離し、その一方でオリンパス本体の預金や有価証券を水増し計上する形でつじつまを合わせていた。損失を隠した資産はピークの2005年3月期末には1300億円超に達し、企業買収に絡む支出で穴埋めした。現在までに損失処理は終了したもよう。同社の上場維持を巡る判断にも影響を与える可能性がある。(関連記事総合、経済1面に)
同社は1990年代に財テクに失敗し、多額の含み損を抱えた。01年3月期から導入された時価会計制度で含み損を表面化する必要が生じ、これを逃れるためケイマン諸島に設立したファンドなどに損失を移す「飛ばし」を実施。簿価が同じ金融商品と交換する形で、オリンパス本体の資産を水増しする操作を繰り返した。
具体的には外国銀行預金、債券、「ニュー・インベストメンツ」および「GCニュービジョン・ベンチャーズ」という2つの投資ファンドへの出資金などの名目で貸借対照表に資産計上。これらは大半が実体を伴わない水増し資産とみられるが、決算書に計上し、有価証券報告書でも開示していた。
00年代のIT(情報技術)バブル崩壊などで含み損は増え、オリンパスは企業買収を利用した含み損穴埋めを計画。06~08年に医療機器メーカー、英ジャイラス買収に絡み、ファイナンシャルアドバイザーへの報酬や優先株の買い戻し資金約690億円、国内3社の買収資金734億円を使って、含み損を処理した。
09年3月期には、経理操作に利用した資産の残高は600億円強に減少した。この時点までに約1000億円の損失を穴埋めし、処理をほぼ終えたもようだ。
オリンパスの監査は09年3月期まではあずさ監査法人が担当し、10年3月期からは新日本監査法人が担当している。
オリンパスの第三者委員会は損失隠しの疑惑解明を進めており、こうした手口の全容を把握しているもよう。12月初旬をメドに調査結果を報告するとしている。これを受けて、オリンパスは11年4~9月期の決算発表と四半期報告書の提出を予定している。
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