22/09 EUの銀行「損失21兆円」、IMFが推計 債務危機の国債保有で、金融システム不安鮮明



2011/9/22付
 国際通貨基金(IMF)は21日、欧州連合(EU)の銀行が2000億ユーロ(約21兆円)の損失を抱えている可能性があると発表した。ユーロ圏の債務危機で保有している国債の資産価値が下落しているため。欧州金融システムの健全化への不安が改めて浮き彫りになった格好で、IMFは銀行部門の資本強化が必要との認識を示した。
 IMFがまとめた金融安定性報告で明らかにした。2010年に債務危機が顕在化して以降のギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペイン、ベルギーの国債を対象に現時点での潜在的な損失額を計算した。対象国の銀行への貸し出しなどの「銀行間信用」を含めると、損失額は5割増になると分析した。
 欧州メディアによると、2000億ユーロは欧州の銀行の狭義の中核的自己資本の10%強に相当する。ただ、IMFはこの額は「銀行の資本増強必要額ではない」としており、必要額については「銀行の貸借対照表と収益に関するより詳細な分析が必要」と言及を避けた。
(ワシントン=御調昌邦)

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