損害保険大手NKSJホールディングスは21日、傘下の損保ジャパンと日本興亜損害保険の合併に向けて検討に入ると表明した。損保再編が再び動き出した。
NKSJは21日、大幅な合理化策を盛り込んだ中期経営計画を公表した。
ここで損保ジャパン、日本興亜の本社機能と国内外の営業拠点をほぼ一つにまとめる方針を打ち出した。2014年度からは保険商品や保険金支払いなどのシステムを統一し、従業員の採用もいっしょにする。
両社は10年4月に経営統合し、NKSJが発足した。顧客の基盤が違うなどの理由から、しばらく2社体制を続ける方針だった。
だが、両社とも少子化などで主力の自動車保険の収益がなかなか改善しない。今年3月の東日本大震災では被害を受けた企業への保険金支払いが急増した。このため、2社体制の見直しを迫られた。
合併すれば、売上高にあたる「正味収入保険料」が、一損保では東京海上日動火災保険を抜いて国内トップになる。国内損保の3大グループでは3位のNKSJとしては、グループ内の業務が効率良くなるとともに、傘下損保の規模を生かして営業力を高めることもできると考えている。
ただ、合併の時期は明らかにしていない。「一体化しない方が小回りがきく」との慎重論が根強い日本興亜側に、損保ジャパン側が配慮したためとみられる。
NKSJの辻伸治常務は21日、「メガ3損保の競争の中で負けないように(合併を)実行したい」と述べた。ただ、グループ内の主導権争いもあり、合併までには曲折も予想される。
■グループ内再編、焦点
国内の損保業界は、少子高齢化などで国内市場が小さくなってきたため、ここ数年で再編が進んだ。
今ではMS&ADインシュアランスグループホールディングス、東京海上ホールディングス、NKSJの3大グループ体制に集約されている。正味収入保険料は3大グループで国内損保全体の9割近くを占める。
しかし、各グループとも中核の損保の合併は進まず、人員や設備は多すぎるままだ。一方、損保業界は高齢ドライバーの事故が増えるなどして自動車保険の収益が悪化し、グループ内再編でさらに効率を良くする必要がある。各社がコストを下げて新サービスや割安な保険商品につなげていけば、契約者にも有益になる可能性がある。
現在、NKSJのほかにグループ内再編が注目されているのはMS&ADだ。発足後にあいおいとニッセイ同和を合併。そのあいおいニッセイ同和と三井住友海上を合併するか、事業別の損保に再編するかなどを検討している。(岡林佐和)
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