20100919 nikkei: (上)立ち上がる6億人市場 - 中間層拡大 消費に熱気
【ジャカルタ=野沢康二】東南アジア諸国連合()が新たな成長期を迎えた。金融危機からいち早く立ち直り、6億人規模の域内市場は所得の底上げによる中間層の拡大で消費ブームに沸く。中国、インドという巨大な隣人に挟まれながらも、自由貿易協定(FTA)などをテコに存在感を発揮。消費市場に加え生産拠点として内外需のかみ合った発展を探るASEANに、域外国も熱い視線を送る。
中間層の拡大が消費をけん引(ジャカルタ)
「大きめの車種への買い替え需要が多い」。インドネシア・ジャカルタ郊外に先月オープンしたばかりの日産自動車の販売店でアンドレ・アダム店長がこう話す。8月の売り上げは目標の2割増し。日産は現在40強の販売拠点を2013年までに80カ所に増やす。
1~7月の同国新車販売は前年同期より75%増えた。成長を見込み、1990年代に撤退した米クライスラーが再参入。中国の浙江吉利控股集団や韓国の現代自動車が相次ぎ現地生産を開始し、中国の北京汽車工業のグループ会社も来年から小型乗用車生産を始める。
ASEANで自動車販売は絶好調だ。市場規模の小さいシンガポールを除く主要5カ国(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム)の今年1~7月は前年の不振もあり、前年同期比44%増の約138万台。通年では約200万台だった08年を超え、過去最高を更新しそうだ。
原動力は拡大する中間層。みずほ総合研究所などによると、可処分所得5000ドル超の中間層・富裕層人口は08年、ASEAN主要5カ国で約2億600万人。1990年から5倍近くに増えた。中国(4億6000万人)には及ばないが、インド(2億人)と並ぶ。これが20年には3億9000万人近くに膨らむ見通しで、消費市場としての潜在性は大きい。
日本のイオン、英テスコ、仏カジノなどが争奪戦――。仏カルフールのタイ、マレーシア、シンガポール事業の売却を巡り流通大手のつばぜり合いが続く。カルフールは東南アジアではインドネシアに集中、来年から出店ペースをこれまでの年10店程度から同20店に増やす。同業他社はカルフールの売却事業からさらなる成長を狙う。
都市型消費スタイルの広がりでコンビニエンスストアも急拡大。セブンイレブンの5カ国での店舗数は約7200店と05年末の1.7倍だ。現地の一般的な昼食1回分かそれ以上の価格でコーヒーを提供する米スターバックスなども店舗網を広げている。旅行需要の拡大をにらみ航空大手エア・アジアは7月、ASEAN10カ国すべてをつなぐ路線網を完成させた。
アジアの消費文化に詳しいインドネシアの評論家ウィリアム・ウォンソ氏は「東南アジア全域でグルメや健康などのために出費を惜しまない中間層が着実に増えている」と話す。
米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は東南アジアに適した商品の開発強化へ、13年までにシンガポールに洗顔料などの研究開発拠点を開く。スイスの食品大手ネスレも、インスタントコーヒーの開発部門をスイスからシンガポールに移管した。立ち上がる6億人市場を見据え、ASEAN内外の企業の動きも活発になっている。
source: nikkei
可処分所得[ disposable income ]
個人所得から税と社会保障負担などを差し引いた残りの部分で、個人が自由に処分できる所得。個人の購買力を測る1つの目安となっている。
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