- 2012/6/8 7:01
(2012年6月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
スペインのルイス・デギンドス経済相は先月、ユーロを守る戦いはスペインで起きると述べた。戦いの結果はまだ分からないが、最終決戦の時は近づいているようだ。
■支援の要請は時間の問題か
モントロ財務相の発言は、スペイン政府がコミュニケーション下手で苦しんでいることを裏づけた。マリアノ・ラホイ首相ら政府閣僚は欧州連合(EU)との交渉や市場をなだめようとする際に必要な抜け目なさを、再三発揮できないできた。だが、スペイン政府は危機を制御しようとする姿勢を見せるべきで、それなら欧州はスペインを助けるためにもっと多くのことができる。
残念ながら欧州の各種機関の対応は不十分だ。フランクフルトでは欧州中央銀行(ECB)が再び政策金利の据え置きを決めた。一方ブリュッセルでは、欧州委員会がおおむね有益な新銀行規制を策定したが、次の危機には役に立っても、現在の危機に対処するものではない。
■銀行救済はユーロ圏の将来に不可欠
政治的な意志さえあれば、スペインの問題の解決策は比較的単純だ。スペイン政府は、債権者に損失をかぶらせて政府が銀行向けの新規資本を用意することを認めるドイツか英国の破綻処理法をまねるべきだ。そうすれば、支払い不能状態の銀行が抱える損失に、スペインの資金であれ、欧州の資金であれ追い銭を投じる事態は避けられる。
これで問題が解決しなければ、ユーロ圏は救済基金の活用に抵抗すべきではない。救済基金は管理可能な問題に対処するだけの資金を持つ。政府に負担を負わせるのではなく、銀行に直接資本注入できるようにしなければならない。また、スペイン政府は一定の条件を受け入れるべきだが、スペインの危機は銀行に限られているため、ほかの被救済国に課された条件ほど厳しくすべきではない。
スペインに関する合意は、ユーロ圏の将来に関する大きな合意にとって不可欠な柱となる。6月末の重大なサミットに向けて準備する欧州首脳は、かつてないほど大きな利害がかかっていることをはっきり認識しなければならない。
(翻訳協力 JBpress)
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