08/07 欧州中銀、追加利上げ…3か月ぶり

物価上昇収まらず

 【フランクフルト=中沢謙介】欧州中央銀行(ECB)は7日の理事会で、ユーロ圏17か国に適用する政策金利を現在の年1・25%から年1・50%に引き上げた。利上げは4月以来、3か月ぶりだ。エネルギー価格の高止まりを背景に、物価上昇が続いているためだ。域内の金融市場はギリシャやポルトガルの財政不安の影響で一段と不安定になっており、ECBは難しい金融政策運営を迫られている。

域内市場 財政不安で動揺

 ECBのトリシェ総裁は同日の記者会見で「物価の上昇圧力を綿密に監視している」と、引き続きインフレを警戒する姿勢を示した。
 ユーロ圏の6月の消費者物価指数は前年同月比2・7%上昇し、ECBが金融政策運営の目標としている「2%未満」を7か月連続で上回った。ECBが4月、2年9か月ぶりの利上げに踏み切った後も高い物価上昇が続いていることから、再度の利上げに踏み切った。
 一方、域内の経済環境は4月以降、悪化している。ギリシャは2012年以降の財政資金が足りなくなり、欧州連合(EU)などに第2次支援を仰ぐことになった。5日には米格付け会社がポルトガル国債の格付けを4段階引き下げ、「投機的」扱いにした。ポルトガルもいずれ第2次支援が必要になると見ているためだ。
 スペインやイタリア国債の流通利回りも上昇(国債価格は下落)し、動揺が域内に広がっている。景気面でも、ユーロ圏の5月の小売り売上高が前月比1・1%減となるなど、一部にかげりも見える。
 ECBは、域内の国がデフォルト(債務不履行)の危機に直面する一方、景気も先行きの不確実性が高まる中での物価上昇という悩ましい状況に置かれている。
 【フランクフルト=中沢謙介】英中央銀行のイングランド銀行は7日の金融政策委員会で、政策金利を過去最低の年0・5%のまま据え置いた。
 英国では5月の消費者物価指数が前年同月比4・5%上昇し、インフレ懸念が根強いものの、景気の力強さに欠けることから金融緩和を継続する。
(2011年7月8日  読売新聞)

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