米国株、ダウ小反落12ドル安 FOMCに失望、引け前に下げ渋り


【NQNニューヨーク=横内理恵】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落し、前日比12ドル94セント(0.1%)安の1万2824ドル39セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)の導入を見送ったうえ、声明やバーナンキFRB議長の記者会見でも追加緩和への踏み込んだ言及がなかった。FRBが市場の期待ほど追加の金融緩和に前向きではないとの見方が広がり、売りが出た。
 FRBは同日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、6月末に期限が終了する予定だった長期金利を押し下げるための金融緩和措置「ツイスト・オペ」を6カ月延長すると決めた。昼過ぎに公表した声明は米景気の現状認識を下方修正したが、午後のバーナンキ議長の記者会見とあわせ、今後の追加緩和を強く示唆する内容はなかったと株式市場は受け止めた。
 市場の一部で浮上していた追加緩和期待が後退し相場は午後に下げ幅を拡大。ダウ平均は一時92ドル安まで下げる場面があった。
 FRBが同日公表の米経済見通しで2012~14年の実質国内総生産(GDP)伸び率の予想レンジを下方修正したことが景気の先行き不透明感につながり、株に売りを誘った面もあるという。
 売りが一巡した後、取引終了にかけて相場は下げ渋った。欧州債務危機やその対策の進展を見極めたいとして、様子見ムードが広がった。
 ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小幅ながら5日続伸し、前日比0.69ポイント(0.0%)高の2930.45と5月11日以来の高値で終えた。
 ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約7億5000万株(速報)、ナスダック市場は約15億4000万株(同)と比較的薄商いだった。業種別S&P500種株価指数(全10業種)は「公益事業」や「生活必需品」など8業種が下げた。
 4~6月期の業績見通しを引き下げた日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が下落。前日夕の四半期決算発表と同時に売上高見通しの上限を引き下げた文書処理ソフトのアドビシステムズも安い。
 一方、JPモルガン・チェースが3%上げ、ダウ平均構成銘柄で上昇率首位。デリバティブ(金融派生商品)に絡んで巨額の評価損が生じていると公表していた資産について、大部分を売却したと米メディアが報じた。
 アナリストが投資判断を引き上げた半導体製造装置大手アプライドマテリアルズ(AMAT)が高い。電子機器の製造受託サービスを手掛けるジャビル・サーキットが大幅高。前日夕に発表した四半期決算は減益だったが、悪材料出尽くし感から買われた。
2012/6/21 6:32

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