26/11 オリンパスの市場への責任


2011/11/26付

 巨額の損失隠し問題に揺れるオリンパスのウッドフォード元社長が来日し、同社の取締役会で経営刷新の必要を訴えた。すでにオリンパスは、不正を主導したとされる菊川剛前会長兼社長ら3人の辞任を発表している。不正を知りながら止めなかった取締役が他にもいるようならば、その責任も厳しく問うべきだ。
 東京証券取引所はオリンパス株を、上場廃止の可能性がある監理銘柄にしている。これに対して欧米の機関投資家が加盟するアジアン・コーポレート・ガバナンス協会が上場を維持するよう東証に求めている。株主や従業員など利害関係者の受ける経済的損失が大きすぎるというのが理由だ。
 ウッドフォード氏も25日の記者会見で、米欧の投資家に同調する姿勢を示した。
 東証がオリンパスの上場を維持すべきかどうかを決めるうえで、経営や内部管理の体制整備は大きな判断材料の一つだ。再発防止の体制づくりも重要になる。ウッドフォード氏も含めたオリンパスの取締役会が上場維持を求めるのなら、経営刷新の手を緩めるわけにはいかない。
 もちろん、それと並行して過去の不正の全容を明らかにしなければならない。オリンパスは法律・会計の専門家で構成する第三者委員会の調査に基づき、12月14日までに過去の有価証券報告書を訂正する。それを見れば決算情報がどの程度ゆがめられていたかが分かる。仮に債務超過などを隠していたとすれば、上場の維持を危うくしかねない悪質な不正と判断されても仕方ないだろう。
 過去だけでなく現在のオリンパスの財務状態も、きちんと示してほしい。損失処理に用いた高額買収でのれん(買収価格と純資産の差額)が大きく膨らんでいる。それを再評価してもなお、資本は十分にあるのか。説明のつかないお金の流れは、完全に止まったのか。投資家が安心して同社株を取引するためには、そうした点にも納得のいく説明が要る。

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