12/11 TPP参加へ 日本に有益な「開国」の決断(11月12日付・読売社説)

新たな多国間の経済連携に加わることで「開国」に踏み出す野田首相の政治決断を支持したい。

首相は記者会見で、米国など9か国が進めている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に向けて、関係国との協議に入ると表明した。

日本は自由貿易を推進し、経済成長を実現していく必要がある。人口減少などで内需が縮小する日本経済を活性化させるには、成長センターであるアジアの活力を取り込むことが欠かせない。

首相が「貿易立国として、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかねばならない」と述べたのは当然だろう。

民主党内だけでなく、野党の一部にも根強い慎重論を退け、大局的に判断した意義は大きい。

首相は、「世界に誇る日本の医療制度、伝統文化、美しい農村を断固として守り抜く。国益を最大限に実現する」と述べた。

米国などは、ハワイで12日に始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、TPPの大枠合意を目指しているが、詰めの交渉は来夏ごろまで続くとみられる。

TPPは、物品の関税撤廃だけでなく、サービス、知的財産など幅広い分野に及ぶ。貿易や投資ルールで日本に有利になるよう、主張することが求められる。


昨秋の横浜APECは、域内の貿易や投資を自由化する「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)構想を2020年ごろまでに実現する方針でほぼ一致した。

TPPはFTAAP実現に向けた重要なステップになる。日本は韓国などに比べ、経済連携戦略で出遅れた。TPPを足がかりに、巻き返しを図らねばならない。

TPP参加は、日米同盟関係も深化させる。経済・軍事大国として存在感を強める中国への牽制
けんせい
という点でも重要だ。

だが、ハードルは少なくない。日本の交渉参加には、米国など9か国の了承が要る。米国では議会承認を得るルールがあり、日本の参加時期が来春以降にずれ込みかねない。政府は米国に速やかな対応を働きかけるべきだ。

TPP交渉では、日本が何を守り、何で譲歩するのか、焦点の農業分野などの市場開放を巡って、難しい対応を迫られる。

中長期的には、農業の国際競争力を強化し、農地の大規模化や、生産性向上を計画的に図っていかねばならない。首相の重い決断を農業改革に生かすことが、日本の進むべき道だろう。

(2011年11月12日01時44分 読売新聞)

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